戦勝の歴史を守るためのロシアの努力

戦勝の歴史を守るためのロシアの努力

先日、ロシアで第二次大戦終結記念日が9月3日に改められました。これは第二次大戦の勝利に大いに貢献したソ連の業績を守る為、ロシアが傾けている努力の一環だといえます。

戦勝の歴史を守るのは国の尊厳と栄誉を輝かせ、国の将来を裏付ける重要な事だというのがロシアの立場です。そこでロシアは欧州の一部の国々で見られる歴史歪曲の動きに強い反応を示し、積極的な対応策を執っています。

昨年9月、プラハ市のある区域でソ連元帥イワンコネフ*1の銅像を撤去する決定が下され、この4月、銅像は取り払われました。これにロシアが強く反発しています。

ロシア国防省はソ連元帥の銅像の撤去に責任がある人物に対する刑事訴訟を起こしました。また撤去された銅像の移管を求める手紙をチェコ国防省に発送しました。手紙はプラハ戦闘の時5万人以上のソ連軍兵士が戦死した事に触れ、「チェコの銅像撤去に手を拱いてはいられない」と指摘しました。

ロシア連邦調査委員会もロシア軍人の栄光の象徴に対する公然たる冒涜の条項によって、銅像撤去の事件に対する刑事訴訟を起こしました。

ロシア外務省は記念碑の保護に関する両国間の対話機構システムを稼動させる事についての報道を発表して、「チェコの地方当局が主張する地方自治体の独自性はその国の国際法上の義務の不履行を意味しない。チェコがロシアの提案を公式に拒む場合、2国関係は悪化するだろう」と明言しました。

ロシアの歴史学者達もソ連の反ファッショ闘争の功績を踏み潰そうとの企みを非難しています。

周知のように新型コロナウイルスに備えてオンラインの形で行われた『ザクセンハウゼン収容所解放の日』に際しての記念式典に、ロシアは招かれなかったので参加出来ませんでした。更に記念式典に参加した少なからぬ高位高官達の発言で、ザクセンハウゼン収容所が他ならぬソ連軍兵士によって解放された事については全く触れませんでした。これについてロシア歴史学会代表達は共同声明を発表して、第二次大戦の歴史をあからさまに乱暴に歪曲している欧州の一部の政治家達を非難しました。

このように歴史歪曲の動きを絶対に許さない姿勢を強めているロシアは、歴史の真実を知らせる事にも力を入れています。

先日、ロシア国防省が偉大な祖国戦争勝利75周年に際して欧州の大都市の開放についての書類を公開しました。その中にはベルリン攻撃についての重要な資料も含まれているといいます。その資料にはソ連軍の戦闘だけでなく、ソ連軍司令部がベルリンと周辺の住民に食糧を供給し捕虜と市民に医療ケアを提供した事、文化財を保護した事が記録されているといいます。

このように戦勝の歴史を守る為のロシアの地道で多面に亘る努力は一層強まり、これからも続くでしょう。

（時事評論）