世界的な科学者に押し立てて

世界的な科学者に押し立てて

朝鮮のリ・スンギ博士は世界的な発明で名をはせた功労のある科学者です。

1905年生まれのリ博士は、日帝の過酷な植民地支配の下で国なき民の悲しみを強いられました。民族の自尊心の強い家庭で育ったリ博士は、民族のための学問を研究する夢を抱いて玄界灘を渡り、苦学で大学を卒業しました。

卒業後、チュチェ28（1939）年、世界で初めてポリビニールアルコールで新しい合成繊維の「合成1号」を発明する抜群の研究成果を出し、世界的な発明の主人公となりました。ところが、これは一瞬の喜びに過ぎませんでした。

真の祖国のない植民地科学者という理由で、合成繊維の工業化の夢は無残に踏みにじられました。その後、リ博士はキョンソン大学理工学部の教授、ソウル大学校工科大学の教授、学長を歴任し、民族教育と科学の発展に努めましたが、アメリカが南朝鮮を占領している限り、自分の夢は到底実現できないと痛感し、共和国行きを断行しました。

リ博士の息子である金日成総合大学の研究者で人民科学者称号の受賞者、アカデミー会員候補、教授、博士のリ・ジョングァさんのお話です。

「父が生前、あれほど渇望していたビナロン工業化の悲願は祖国解放戦争の時、偉大な金日成主席の下ではじめて実を結びました。父が発明した繊維がビナロン*1と呼ばれたことにも胸の温まる話が秘められています。合成繊維の生産ラインが正常稼動していたある日、主席は父に会って、その繊維を朝鮮式で呼ぶ名はないものかと優しく聞きました。以外の問いに父はまごついたとのことです。暫く考えこんでいた主席は、昔、祖先が木綿を織る時、縦糸と横糸の意味のナルシル、シシルという単語を使ったが、繊維の名を朝鮮の味が出るよう『ビナロン』と呼んではと言いました。ビナロンの発明から20年近く、学名だけで呼ばれてきた『合成1号』は主席によってビナロンとして世に生まれ変わったと父はよく言いました」

主席はリ博士が人民のための研究に一層励むよう暖かく導きました。主席は人民の衣類問題のことで指導に当たるたびにリ博士を呼び、国の化学工業に関する協議会があれば必ず参加させなければならないと念を押しました。

時にはリ博士が発明した新しい農薬について調べ、科学研究で主体性の原則を守るようにし、また、いつか難しい研究課題のため苦心していた時は難題解決の方法まで一つ一つ教えました。

考えに詰まれば知恵を与え、疲れれば力と勇気を与える主席に導かれて、リ博士はビナロン工業の主体化のための研究に拍車をかけて、ビナロンで毛を代替できる混合紡糸ビナロン、自然のウールに代わるモビロン、工業用繊維として利用できるビナロン強力糸を発明して人民生活に大きく寄与しました。

主席は機会あるごとに、リ・スンギ博士は民族の良心を持って朝鮮の化学工業に大きく寄与した党に忠実な科学者である、朝鮮労働党が一番大事にし、惜しむ世界的な科学者だと高く評価しました。

リ博士を世界的な科学者に押し立てた主席の恩情の話は今に伝えられています。